《1》
私は今日からここ「聖ハロー学園高等部」三年に編入する。
郊外にあるこの高校は幼稚園から大学までの一貫教育の女子校で、
いわゆるお嬢さん学校。
・・なんかさっきから周りの視線が痛い。
ルーズソックスにひざ上15cmのスカート、
茶髪ロングな私・・・。
周りはと言えば、ちゃんと履いたハイソックスに
ひざが隠れるスカート。
・・やっぱ目立つ?
何でこんな私がここに転校してきたかというと、
前の学校で問題を起したからで、
何でそれなのにお嬢様学校に入れるかというと
この学園の前理事長が叔父、現理事長が従姉妹だって言う理由だけなんだ。
それにしても・・・この学校広すぎ! 職員室、どこ?

私がきょろきょろしてると校門付近がにわかに騒がしくなる。
きゃーきゃーと黄色い声援。
なんなの?
この学校、アイドルでも通ってんの?
校門近くの教職員駐車場に停まった車から降りてきた三人の女性。
多くの生徒の声援は間違いなくその三人に向けられていた。

「・・・なに? あれ」
「真希、おはよ」
「あ、ゆーちゃん」

声のする方を向くと、理事長であり、私の従姉妹である裕ちゃんこと中澤裕子が
私を迎えに出てきてくれていた。

「なんなの? あれ」

私は先ほどからの疑問を率直にぶつける。

「ああ、あれか? あれはこの学園の御三家」
「御三家?」
「うちの学園、19年女ばっかりやん?
擬似恋愛言うんかな、女が女を好きになるパターン多いんよ。
その中でアイドル並みの人気を誇るのがあの三人やねん」
「へえ」
「あの茶髪のロングが技術家庭の石黒先生。
その隣りが大学部一年の市井紗耶香。
あと、まきと同じ制服着てるのが高等部三年の吉澤ひとみ」
「毎朝一緒にきてるの? あの三人こそ出来てるんじゃ・・・」
「ははは、面白い考え方やなあ」

私の言葉に裕ちゃんは爆笑する。

「一人出歩いてるとファンに囲まれた時、身動き取れんやろ?
三人やったら大丈夫とか言うて、つるんでるんやで」

・・・なんか私、とんでもない学校に転校してきたかも・・・。

 

「失礼します」

理事長室で私が待っていると、担任が迎えにきた。

「あ・・・」

入ってきた担任を見て、私は思わず声を出してしまった。

「・・・どうかした?」
「あー、この子なあ、朝の御三家の登校シーンを見たからなあ」
「ああ、それで」

そう、私の担任は石黒先生だった。

「えっと、改めて。
3―A担任の石黒彩です。よろしくね」

そう言ってニコッと笑う先生。
切れ長の大きな目。
でも笑うと、その目が人懐っこいムードをかもし出す。
なんかファンがいるっていうの、わかる気がするかも・・。

「じゃ、教室行こうか」
「はい」

長い廊下を二人並んで教室に向かう。

「石黒先生」
「ん?」
「私のこの格好、おかしい?」
「いや、おかしくはないよ。
でもこの学校じゃ浮くかもねえ。
あ、それと、あやっぺでいいよ」
「え?」
「誰も私のこと先生なんて呼ばないから」
「はあ・・」

やっぱ変な学校かも・・・。
まあ私を無試験で編入させてくれたんだから、贅沢いえないけど・・・。


「はい、みんなおはよう。
今年一年3―Aを担任することになった石黒です。よろしくね」

流石に御三家の一角だ。
あやっぺが教室に入り担任の挨拶をすると、
教室は一気に喜びの声に包まれてる。
「うれしー」とか「一年間ばら色」とか、
廊下で聞いている私は苦笑するしかない。
その『ばら色』の理由って他にもあった事が
転入生を紹介するってあやっぺに呼ばれて
入っていったときにわかった。
3―Aには吉澤ひとみもいたのだ。

「自己紹介してくれる?」
「後藤真希です。よろしくお願いします」
「えっと、後藤の席は吉澤の隣りな」

クラスからはいいな〜なんて声も聞こえて居心地が悪い。

「吉澤、食うなよ?」
「うわ、ウチ、あやっぺじゃないしー」

吉澤さんとあやっぺの会話にクラスがどっと沸く。
ってか、これ、教師と生徒の会話じゃないし・・・。

「よろしくね」

席につこうとした私に吉澤さんが声をかけてきた。
色が白くて、長い睫毛に大きな目。
瞳が少し茶色いせいでハーフっぽくも見える。
人気があるのも納得だ。

「あ、こちらこそ」
「わからないことあったら聞いてね」
「はい」

あーあ、私、何でタメの子に敬語使ってるんだ?

 

とにもかくにも1日目を終え、私は寮へと向かう。
この学校は全国からいわゆる名士の子が集まってきている関係上
遠くて通えない子は子の寮に入ることになっていた。

「お待ちしてたわ、後藤さんね、どうぞ」

寮の管理人の保田さんが出迎えてくれた。

「ルームメイトももう帰ってきてるわよ」

この寮は全て2人一室。
いいルームメイトに当たるといいけど。

「よっすいー、入るわよ」
「はーい」

返事とともに顔を出したのは、吉澤さんだった。

「あ、真希ちゃんだ」
「なんだ、2人知り合い?」
「同じクラスになったんだ。しかも隣りの席」
「へえ、奇遇じゃない。まあこれも何かの縁ね」
「じゃあ、真希ちゃん、寮でもよろしくね」

そう言って手を出す吉澤さん。

「あ・・うん」

なんか、学校で見るクールに決めてる吉澤さんと違って、
今の彼女はすごく柔らかい笑顔をしてる。

「あ、そだ」
「ん? 何? 圭ちゃん」
「あんた、この子には手、出しちゃダメよ?」
「なんで?」
「この子は裕ちゃんの従姉妹だからね」
「うそーん」

って、手、出すつもりだったんかい、吉澤さん?
ってか、そんながっかりした顔しないで?
はあ〜、私、これから先どうなるの〜(泣)

つづく

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