今、あたしはごっちんの寝顔を見ながら考える。
あたしに『プロ意識』って言葉を身を持って示してくれるごっちん。
それに応えるために
あたしはこの一週間はスタッフのプロを目指そうじゃないの。
そして娘。に戻った時には
『よっすぃ〜いい意味で変わったね』
そう言われるくらい頑張ろうじゃないの。
それがごっちんへ対する感謝とか友情とか愛情とか
そんなものに変わるはず。


翌日からあたしは、自分が芸能人であることを捨てた。
このレッスン期間中は
あたしは『モーニング娘。の吉澤ひとみ』じゃなく
『UFA社員の吉澤ひとみ』になるんだ。
やるからには今までのごっちんのスタッフには絶対負けたくなかったし。
伊達にずっとごっちんのそばにいるわけじゃない、
ごっちんのツボっていうの? 
機嫌よく仕事させるコツもわかってるつもり。
何よりも今、ごっちんについてるマネージャーとかメイクさんとか
スタイリストさんよりも先に
ごっちんの求めてるものを提供してやれるようにと
あたしは残りのレッスン期間の目標を定めた。
それにはずっとずっとごっちんを目で追ってなくちゃいけなくて、
なんかそれはそれでめっちゃ楽しくて、
ってか、こんなに堂々とごっちんに視線をやれるっての
初めてだから、なんか楽しい。

撮影の合い間にコートを肩からかけてやることや
飲み物をふたを開けて、ストローさして出してやることなんて当然なのに、
ごっちんはその都度、嬉しそうな顔してくれる。
あたし、スタッフがなんかしてくれた時にこういう笑顔送れてる?
やってもらって当たり前って気持ちでいない?
ごっちんがする全ての事が自分を省みる材料になる。

 

「よしこ、目つき悪〜い」

東京へ戻ってすぐに、今度は地方での新曲キャンペーンで移動。
その移動の駅でごっちんの先の発言となる。

「ほえ?」
「そんな、周りにらんでなくても大丈夫だよぉ」

でも、娘。のときに、何回もごっちんが変なファンに囲まれたり、
カメラ小僧に写真撮られたりしてるの見てきたからさ、
あたしがそばについてる時にそんなの絶対やだったし、
もし、なんかあったらあたしが助けてやりたいじゃん。
だから、自然と目つきが鋭くなってたみたいだ。

「ってか、喧嘩ダメだよ?」

ハハ、さすがごっちん、微妙にばれてるね。
ってか、今、ごっちんに何かするやつがいたら、
間違いなくあたしはキレる。
でもさ、神様ってイジワルだよね。
さっきから、他のスタッフが止めてるにもかかわらず
何回も写真撮ってるヤツがいて
あたし、キレそうだ。

「だめだってば、よしこ」

そんなあたしを見て、ごっちんは袖を引張る。
でもね、やる時はやらなきゃ。
あたしは今、スタッフなんだから。
あたしはそいつの前に立ち、カメラを取り上げた。

「止めて下さい」

あたしはそれだけ言うと、そいつのカメラからフィルムを抜いた。

「あ…」

呆然とするそいつにカメラをつき返し、
あたしはごっちんのそばに戻る。

「もー、びっくりするじゃん」
「ごめんごめん」
「よしこが殴られたらどうしようかって思ったんだからね」

そう言ってうっすらと涙を浮かべるごっちん。

「だって、守りたかったんだもん」
「いつも守ってもらってるから」
「そお?」
「うん。だから無茶はしないでよ?
よしこになんかあったら、あたし生きていけない」
「ありゃ、そりゃ困るよ。スタッフ失格だ」

そう言葉を交わしたら、
自然とあたしとごっちんの手はつながれた。
身長差のせいでちょっとだけ上目遣いになるごっちん
この目、あたし、たまらなく好きなんだよね。
あたしが守っていくんだ、
この目から涙、流させないために。

 

つづく

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