なあ、その唇が空き家になってからどれくらいたつん?
なんかすごいさみしそうやで?
ずっとあたしが見てるのきいついてたか?
よっさんの優しい微笑がすきやった。
あの子を見てる時の横顔がすきやった。
なあ、あの子と別れたんか?
ずっとあんたを見ていたら
あんたはあたしの視線に気づいて首をかしげる。
そんな顔してあたしのこと見いなや。
あんたのその大きな瞳で見られたら
動けんようになってまうわ。
「どうしたんですか? 中澤さん」
「ゆーちゃん」
「はい?」
「中澤さんやない、ゆ〜ちゃんて呼び」
「そんなの言えるわけないじゃないですか」
突然に抱きついてみる。
「!!…な、なに?」
「好きや」
「へ?」
「ずっと前から、あんたのことが好きやった」
王子みたいな物腰と
女神みたいな優しさと
見かけはちょっと日曜日のお父さんやけど
そんなアンバランスさがあんたの魅力や
「テレるじゃないっすか」
そういいながら笑うあんたがいとしくて。
なあ、あたしと恋せえへんか?
まず手始めに、愛の証のキスから始めよ?
完
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