《7》

ひとみ視点

その日、仕事から帰ってきたら
後藤さんがソファで寝てた。
しっかりとクッションを抱きかかえて寝てる。
どくんと心臓が高鳴る。
もう、だめかもしれない。
ずっと抑えてきたこの気持ち。
ウチは後藤さんがかわいくてしょうがない。
どんなに忙しくて疲れて帰っても
不機嫌で帰っても
あのふにゃっとした笑顔を見たら癒されるんだ。
そんなことを思いながら、
朝食を作ってくれる後藤さんをウチはボーっと見てた。

「ヒーチャン、ごはんできたよ」

…今、何て呼びました?
ウチの耳が変じゃなければ「ひーちゃん」って呼んでくれた?
それってウチのことだよね?
そう聞いたらうんって。
うれしいな。
ずっと「吉澤さん」って呼ばれてて
他人行儀なままだって思ってた。
ひーちゃんって呼び方はちょっとこそばゆいけど
苗字以外で呼ばれるんだったら何でもOKだ。

今日の朝食はホットサンドで、
やっぱり後藤さんが作ってくれるご飯は美味しくて…
って、ウチも「後藤さん」じゃダメだよね。

「めっちゃ美味しいよ、真希ちゃん」

ウチが呼ぶ「真希ちゃん」に最初驚いたように顔を上げたけど
次の瞬間には最高の笑顔になった。
やっと、一歩だけ近づけた気がする。


そのころから、ウチらのレスキュー全国大会に向けての訓練が始まった。
ウチの署は毎年常連らしく、
しかも優勝候補らしい。
だから勤務の間の訓練も半端じゃなくきつくって、
なぜか出場候補選手に上げられているウチも例外なく
その訓練の洗礼を受けることになった。
ランニングもウエイトトレーニングも
もちろん実地訓練も、いつもの倍をこなさなければならなくて
帰宅すると、身体は泥のようだった。

「ただいま…」
「おかえりなさい」

迎えに出てくれる真希ちゃんにも疲れきった笑顔をしかみせれなくって
正直悪いなって思う。
疲れて帰るウチのために、
真希ちゃんは毎日消化の良い、口当たりのいいメニューを作ってくれて。
真希ちゃんだって仕事で疲れてるだろうに
そんなことは微塵も見せずに世話を焼いてくれる。

「洗濯しといたから」
「ありがと」
「あのさ…」
「ん?」
「ソファじゃ疲れ取れないでしょ?」
「そんなことないよ?」
「身体伸ばせないし…」
「まあ、それはあるけど」
「私、ベッドセミダブルなんだ」
「うん…」

まさか、ねえ…

「一緒に寝ない?」
「ほえ?」
「あー、いやだったらいいけど」
「いやなわけないじゃん!」

思わず即答してしまった。
エロ親父って思われたらどうしよう。

「じゃあ、今日からは寝室は二人の部屋ね」
「うん」

 


ベッドで手足を伸ばして眠れる。
一ヶ月以上ぶりの開放感だ。
…でも…
これってある意味拷問だ。
隣を向けば無邪気な顔して眠る真希ちゃんの顔
手をほんの少し動かせば真希ちゃんに触れる。
しかも…
何で、寝る時まっぱなんだよ、後藤真希さん。
ウチ、真希ちゃんのことかわいいって思ってるんだよ?
恋愛対象としてみてるんだよ?
ああ…気になって眠れやしない。
目が冴える…。

「ねむれない?」

寝返りばっかり打つウチに
突然真希ちゃんが目を開けた。

「あ…うん…」
「もしかして…私と一緒はやだ?」
「そ、そんなことないよ」
「そっか、よかった」

そういうと、真希ちゃんはウチの頭をそっとなでた。
ウ、ウチ、何されるんだ?
真希ちゃんは私の頭の下に自分の腕をいれて、そっと抱き寄せた。
ちょ、ちょっと待って…胸が…生の胸が…。

「ま、真希ちゃん?」
「ん? いや?」
「いやじゃない。でも…」
「でも?」
「胸が、その…」

こんなんじゃ100%眠れないの決定だ。
すると真希ちゃんは、起き上がりTシャツを羽織った。
そしてまたウチを腕枕。

「これならいいでしょ?」
「う、うん…」
「ひーちゃんが眠るまで、こうしててあげる」

そう言って真希ちゃんはウチの髪を撫で始めた。
うう…。
眠るどころか、どきどきが収まんないよ。

でもさ、不思議なもんで、そうやって髪を撫でられてるうちに
真希ちゃんのぬくもりが心地よくなってきて、
知らない間にウチは眠りに落ちてた。

 

翌朝、ウチが目を覚ますと、
真希ちゃんはウチのことを抱いたまま眠ってて…。
無防備な寝顔がたまらなくかわいかった。
ウチ…やっぱり真希ちゃんが好きだ。
どうしたらいいんだろうね、この気持ち。


つづく

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