《6》

真希視点

初めてのテレビの仕事。
それが吉澤さんの職場だって言うのは何か運命みたいなものを感じた。
吉澤さんはもしかしたら
私の幸運の女神なのかな…。

そしてその撮影の打ち上げで
新たな出会いがあった。

 

石川梨華 20歳。
新宿署広報課に勤める女の子。
なんかすっごい女の子っぽい子で
何でこんな子が消防署に勤めてるんだろうって思うくらいの女の子。

「後藤さんの雑誌、ずっとみてました」
「そうなんですか?」
「プライベートじゃ後藤さんが着ているファッションまねしているんですよ」

隣に座ってうれしそうに話してくれる石川さん。
それからも私は石川さんから質問攻めされた。
行きつけのブティック、
好きなブランド、
行きつけの美容室…
とても話しきれそうにないから、
私は石川さんにメアドを教えた。
とてもうれしそうに、
私のアドが入った携帯のディスプレイを眺める石川さん。
こんな表情されたら…かわいいよね。


それから数日後、私は石川さんからメールをもらった。
『好き』たった一言それだけのメール。
『え? 何が好き?』そう返したレスに
『後藤さんが…好き。彼女にしてほしい』って。
『私、女だよ?』
『男とか女とか言う以前に、後藤真希という人間が好き。
もっとあなたのこと知りたい』


ここまで言われたら断るなんてできなかった。
嫌いじゃないし…。

『ありがとう。私でよければ一度デートしましょう』

私はそう返信した。

 

数日後、初デートに現れた彼女は、
本当に私が雑誌で着たことのあるようなファッションをしてた。

「その服…」
「似合うかなぁ…。親には似合わないとか言われるの」
「大丈夫、似合うよ」
「よかった」

にこって微笑む顔は本当に女らしくて…なんか和むな。
それからあとも、石川さんは私が考えてることわかるんじゃないの?
ってくらい先回りして何でもしてくれて、
いつの間にか私はすごいリラックスモードに入っていた。

「ねえ、石川さん」
「梨華です」
「わかった。梨華ちゃん、遅いから送っていくよ」
「はい」

公園を、石川…もとい、梨華ちゃんの家へ向かって歩く。
「ねえ」
「はい?」
「何で私なの?」
「え?」
「梨華ちゃんは…女っぽくてかわいいから
もてそうなのに…。何で私なのかなあって」
「理由が要る?」
「え?」
「私が真希ちゃん好きになるのに、理由が要りますか?」

真希ちゃんって呼ばれた。
なんかこそばかったけどうれしかった。
吉澤さんは…まだ呼んでくれないんだよね。
もう一ヶ月近く経つのに「吉澤さん」「後藤さん」のままだ。

「いや…いらないよね」

急に梨華ちゃんが私に抱きついてきた。

「ふぇ? な、なに?」
「…してください」
「な、なにを?」

石川さんはそっと目を閉じた。
…これって…キスだよね?
私、自分から何てしたことないよ…
でも…しないわけにいかないよね?
多分、すごい勇気を持って言ってくれてるんだろうし。
私は、そっと口付けた。
口付けた瞬間に、梨華ちゃんの手が私の首に回る。
当然、強く押し付けられる唇。
初めて女の子としたキスは、
とても甘くてやわらかかった。
私は、知らない間に梨華ちゃんの腰に手を回し
きつく抱きしめていた。


家に帰ってから、なんかすっごい人恋しくてたまらなかった。
さっき交わしたキスのせいだろうか。
人肌のぬくもりが恋しくて…。
でも、吉澤さんは今日は泊まり勤務。
ってか、吉澤さんがいたところでどうするの?って話しだよね。
私は吉澤さんがベッドにしているソファに座り
枕代わりにしているクッションを抱きしめた。
…吉澤さんの匂いだ。
なんか、すっごく安心できるな…。

 

「後藤さん、後藤さん?」
「んあ?」

私を呼ぶ声に顔を上げるとそこには吉澤さんが…。
…私、寝ちゃってたんだ…。
しかも、クッションしっかりと抱きしめて。

「あ、ごめんね、場所占領しちゃって」
「ううん、いいよ、そんなの」
「今すぐご飯作るね」
「あ、眠かったら別にいいよ?」
「ううん、パン食でいい?」
「うん、後藤さんの作るご飯、何でも美味しいし」


私はキッチンで急いでご飯を作る。
今日は私から一歩踏み出してみようかな。
積極的な梨華ちゃんに会って、
それもいいかなって思った。
吉澤さんと、もう少し、わかりあいたいし。

朝食の準備が終わって、私は吉澤さんを呼んだ。

「ひーちゃん、ご飯できたよ」
「…へ? 今、なんていった?」
「ひーちゃん…」
「それって…ウチのこと?」
「うん…だめ?」
「ダメじゃないってさ。めっちゃうれしい!」

そう言って本当にうれしそうに笑うひーちゃん。
私の中に、また新しい感情が生まれていた。
それは梨華ちゃんに対して感じてるものとはまた違ってた。
ひーちゃんの笑顔を見るのが大好きな自分に気づいたんだ。
梨華ちゃんといると、尽くしてくれてる分、守らなきゃっておもう。
そのお返しに安らぎをもらっているって感じ。
たとえていうなら男な感情。
ひーちゃんといると、私は女の子になる。
ひーちゃんの笑顔が安心をくれるって感じ。
…私、どうなっちゃったんだろう。
……もう、恋なんてしないって決めたのにね。


つづく

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