《5》

 そして、ごっちんがファンに言うと決めたハロプロの日が来た。
ステージの方はスタッフが考慮してくれて、
ごっちんには常に誰かがエスコートして上げられるような動きになっていた。

「ねえ、よっすぃ〜」
「ん?」
「私、ちゃんといえるかな…」
「大丈夫、ごっちんなら大丈夫だよ」

そう言ってギュって手を握ってやると、
やっとちょっとだけいつの模様な笑顔に戻った。

そして、ごっちんのソロコーナーがきた。

「今日は、みんなに報告しなきゃいけないことがあります。
あのね、実は私、目が殆んど見えないんだ。
このまま、歌っていけるのかすごく不安なんだけど…
もし、ファンのみんなが、まだ後藤真希の歌を必要としてくれるなら
私はがんばっていけるような気がするんだけど」

客席は「うお〜」と言う地鳴りようのような歓声に包まれた。
それを聞いて、あたしの決心も固まった。
ごっちんが心配で、袖で見ていた中澤さんに
あたしはそっと耳打ちをした。

「え、うそ! ちょっと…まじ????」

あたしは静かに頷く。
中澤さん、頭抱えちゃった。
そりゃそうだよねえ。
このあとの騒ぎ考えるとねえ…。

そして娘。のコーナー。
一人ずつのMCが始まる。
次はあたしの番。
あたしは大きく深呼吸した。

「今日は楽しかったよー、
ちゃんと心に焼き付けたからね〜。
私、吉澤ひとみは、娘。を卒業します!!」

一瞬、沈黙が流れた。
並んでいる娘。達も、呆然とあたしを見ている。

「ちょ…よっすい〜?」

「あたしには。夢って言うか
やりたいことがあるのね。
そのために、卒業させてください」

あたしは、客席と、舞台の上と、舞台袖に向かって頭をさげる。

「やりたいことってなんなのよ」

梨華ちゃんが、今までに見たことのないような怒ったような表情で
あたしを見た。

「あたしは、ごっちんと仕事をしたい。
っていってもごっちんのスタッフとして
支えてあげたいって思ってるんで
もう、表舞台に立つことはないと思う」

あ〜あ、進行むちゃくちゃにしちゃった。
あとで怒られるんだろうな…
でも、ごっちんのためだと思うと、怖くも何ともなかった。
ってか、あたしがすごいこと言い出しちゃったから
慌てて、舞台袖まできたんだろうな
ごっちんが今にも出てきそうな勢いであたしのほうを見ていた。
いや、正確には見てはいないんだよな…

 案の定、ステージから下りたら、ごっちんが飛んできた

「バカ、何考えてんのよ!!」
「何って、ごっちんのこと」
「…もう…」
「あ〜、すっきりした。
じゃあ、スタッフに怒られてくるよ。
それと、社員にしてくださいって頼まなきゃ」
「ねえ、まじだったの?」
「んなこと、冗談で言えますかっての。
メンバーにもちゃんと頭さげなきゃだしな…
よし、行ってくるよ」

 楽屋に帰ると、梨華ちゃんがすっ飛んできた。

「何考えてんの!」

梨華ちゃんが殴りかかってくる。

「ちょっとやめなよ」

圭ちゃんが、梨華ちゃんを羽交い絞めにする。
あ〜、混乱させちゃったな…。

あたしは、帰るまでの少しのあき時間、
梨華ちゃんを誰もいない場所に連れ出した。

 つづく

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