《5》

ウチらのJrの名前は『吉澤真瞳』(よしざわまみ)に決まった。
吉澤姓なのはごっちんの配慮から。
いつか…本当の意味で家族になれる日がきたら、
ごっちんは半年年上のウチの姓を名乗ることになる。
そんな日はきますようにの願いも込めて
ごっちんは真瞳をウチの養女にした。
「いつかわかってもらおうね」
それがウチらの合言葉。
ごっちん家はウチが強引に転がり込んだから
なしくずしでOKもらったみたいなもの。
今じゃみんなウチに優しくしてくれるから正直ありがたい。
ウチん家のほうは…。
ウチが家出同然に飛び出してから帰ってなかった。
真瞳を外に連れ歩けるようになったら行ってみようって
ごっちんとそう話してた。

 

そんなうちの悩みは、相変わらずウチの仕事が忙しいこと。
まあ、今はウチ一人の稼ぎでやっていかなきゃいけないわけで
ごっちんの分をウチがカバーしてるって感じ。
もちろん、ごっちんが給料から自分の実家に入れてた分を
今はウチが出している。
ごっちんのお母さんはそんなのいいわよって言ってくれたけど、
それはやっぱりケジメだから。
ウチ的にはウチはお婿さんに来た気分なんだし。
だからってわけじゃないけど、今はほんっとどんな仕事でも引き受けてた。
どんなに遅くなっても
どんなに疲れて帰っても
家に帰ったらごっちんがいる。
それだけでウチの疲れは吹っ飛んだ。

 

その日もウチは仕事から帰ってきたのは日付が変わってからで、
ベッドに入ったら即行眠りに落ちて。
何時だったかな、ふと目が覚めたんだ。

「…あれ? 真希?」

隣に寝てるはずのごっちんがいなかった。

「真希? どこ?」

なんかすっげえ寂しくなって、ウチは飛び起きた。

「真希? 真希ちゃん?」

あまりにも慌てふためいて探すから、騒がしかったんだろう、
バルコニーに通じるサッシが開いて
ごっちんがバルコニーから中をのぞいた。

「ひーちゃん、どうしたの?」
「真希ぃ、どっかいったかと思ったじゃんよぉ」
「あーごめんね。真瞳が夜泣きしたからさ。
ひーちゃん起こしちゃ悪いと思って外出てた」
「そうなの? 何時くらいから?」

ごっちんは時計に目をやる。

「一時間くらいかな」
「全然気がつかなかった…」

ごっちんは真瞳は毛布でぐるぐる巻きにしてるくせに
自分はパジャマ一枚で、くしゅんってひとつくしゃみをした。

「大丈夫? 寒いんじゃないの?」
「大丈夫だよぉ。真瞳寝かせてくるね」

そういってごっちんは真瞳をベビーベッドへ寝かせる。
ウチのところに戻ってきてくれたごっちんを抱きしめた。

「冷たくなってるじゃん」
「ひーちゃん、あったかい」
「いつもこうなの?」
「そうだねえ、最近夜泣き始まったからね」
「気がつかなかった…ごめんね?」
「いいんだよぉ。ひーちゃんは働いてくれてるんだし、
寝かせてあげたいもん」
「真希…」

ウチはごっちんを抱きしめてキスをする。

守んなきゃ…
ウチの家族だ
よし…
明日、埼玉に行こう。

「真希」
「ん?」
「明日、ウチの家に行こう?」
「うん、わかった」

出会ったころは、ウチより甘えん坊だったごっちん
今じゃウチよりしっかりしてて、
母は強しって本当だったんだ。
ウチは今一度ごっちんに口付けた。

「ねえ、真希」
「ん?」
「めっちゃ好き」
「あはっ、めっちゃかぁ」
「うん、めーーっちゃ好き」
「私も」

パパとママになっても変わらない
いや、変わっちゃいけないんだ。
いつまでも出会ったころの二人でいたい。

 

つづく

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