あーあ、いっちゃった…。
騒ぎに慌てて圭織が、「どっきり」のプラカード片手に飛び込んできた。
それを見たよしこは…。

「くそ!!!」

思いっきり壁を拳で殴って飛び出しちゃった…。

 

「…ごっつあん?」
「ん?」
「…彼女って…何?」
「言葉のそのままです…」
「それってさあ」
「私の恋人なの、よしこ」
「あほ! それ先にいいなよ!
そりゃあ、よっすぃ〜怒るよ」

だって…ねえ…仕事だって言われたらねえ…

「早く追いかけてあげな?」

圭織にいわれて、私は部屋を飛び出した。

 

よしこは屋上にいた。
大雨の中、屋上で大の字になってねっ転がっていた。

「…よしこ?」

よしこは私を見てくれない。
顔や身体に打ち付ける雨も気にせず
よしこは空を睨んでいる。
さっき壁を殴った右手からは
どくどくとよしこの血が、
雨水に混じって屋上を赤く染めていた。

「よしこ…血、出てるよ?」

私はかけより、よしこの手を見る。
1.5cmくらいぱっくりと
中指の付け根のあたりが口を開いていた。
でも、よしこは私が持ち上げた手を振り解く。

「ほっといて」
「ごめんね…」

よしこは返事をしてくれない。

「病院行こ?」
「やだ」
「でも…血、いっぱい出てるし…」
「誰にも会いたくない」
「じゃあ、二人で行こ?」

二人って言葉に、初めてよしこが私を見た。
よしこは目が真っ赤だった。
…泣いてたの?
スタッフに言ったら絶対二人で行かせてもらえないから
私たちは黙って病院に向かった。

結局、よしこは三針縫った。
事務所への帰り道、
私たちは歩いて事務所へ。

「ごめんね」
「いいよ、ごっちんは悪くないんだし」
「だって、よしこのこと傷つけた」
「仕事だったし」

ぶっきらぼうな口調が、よしこの内心の複雑さを物語る。

「それよかウチだよ…」
「え?」
「ウチ、最低だよ」
「なんで?」
「ごっちん信じないで…かってにキレて…
最低だよ…」

またぽろぽろと、よしこは涙を流す。
やだ…泣かないでよ…
よしこの涙を見た私も、鼻の奥がつんとした。

2人して泣きながら街の中を歩く。
周りから見たら、さぞ不思議な光景だろう。
携帯がなる。

『あんたたち、どこで何してんの?』

圭ちゃんからだった。

「ごめん、もうすぐ戻るから」
『みんな心配してるんだからね、早く戻ってらっしゃい』

私達が飛び出してから、もう一時間以上は経っているから、無理もない。

「圭ちゃんが早く帰って来いって」
「そりゃそうだろうね」

そう言ってよしこが微笑む。
この企画が始まってから、初めて見るよしこの笑顔だ。
私はつないでいない右手を
よしこの左手に触れようかどうか迷った。
ちょこっと手が触れる。
次の瞬間、よしこの大きな手が、私の手を包んだ。

「…よしこ…」
「ごっちんがいやだって言うまで、この手、離さない」
「いやだ、なんて言わないよ」

嬉しくてまた涙が出た。

 

事務所に戻ると、みんな心配そうな顔で出迎えてくれた。
高橋なんて、やりすぎたかも、って半泣きで。

「大丈夫だよ、愛ちゃん」

そう言いかけてよしこを見ると、よしこはもう余裕の笑み。
でもね、帰り際

「やっぱり”モテごま”は泣きそうになるからやだな」

ってよしこが言ったことは内緒ね。

え? どっきり?

そんなの放送できるわけなくてお蔵入り。
みんなの三日間の苦労は水の泡と消えたのでした。

〜fin〜


あとがき
モテごま万歳なオイラとしては書きやすかった作品。
短気よしこはリアルでもありそうだよな(脅)

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