翌日は違う仕事。
今日は1日、気が抜ける…。
よしこからは一通メールがきた。
『ごっちん……』
ってそれだけかかれたメール。
なんか、怒られるよりこわいんですけど。
このドッキリがばれた時、よしこはどんな反応をするんだろう…。
なんか怖いな…。

なんてボーっと考えてたら、携帯がブルった。
『今からそっちへ向かってます。
一応対談の仕事って設定。
こっちはよっすい〜となっちと紺野だから』
なっちからのメールだった。
はあ〜、気を抜かせてもらえないのね…。

暫くして三人が到着した。
よしこは…笑顔がない。
嘘の対談はあっという間に終了、
マネージャーの配慮っていう設定で(ややこしいなあ)
次の仕事までのあき時間を、私の楽屋で過ごすことになった。

「後藤さん」
「ん?」
「昨日、愛ちゃんのところに泊まったんですか?」
「うん、泊まったよ」

本当は泊まりになんか行ってないけど。

「いいなあ」
「紺野、うちに泊まりに来る?」
「っていうか、来て欲しいです」
「OK」
「それと、あさ美ですから」
「ハハ…OK、あさ美ちゃん」
「なっちもさぁ」
「ん?」
「なっちも久し振りにごっつあんと語り合いたいべさ?」
「まじで言ってんの?」
「大マジだべ?」
「んー、じゃあうちに遊びにくる?」
「うん! 行く行く!!」

そう言いながらなっちが抱きついてきた。
私はその背中を抱く。

抱き合いながら、私となっちはよしこの様子を盗み見る。
よしこは部屋の隅で三角ずわりしてうつむいている。
私となっちは顔を見合わせた。
ドッキリ、ツボに入りまくりだよね…、
明日、ネタばらしだからもう1日がんばって。

その夜もよしこからは一通メールがきた。
『ごっちん…泣きそうだよ』
それだけのメール。
って、よしこ、泣いちゃうの?
そこまで行くと、ドッキリ大成功を通り越して
シャレになんないかも…。

 

翌日、集合は午後。朝一番によしこからメールが来た。
『惚れ直させてやる』
そう一言。
惚れ直させてやるって言われなくてもじゅうぶんに惚れてるんだけど
メンバーは二人は親友だって思ってて
恋人なんて思ってないからヒミツ。
でも。彼女のモテる様見てるよしこ、辛いだろうなて思う。
いつもモテ吉見てる私の気持ち、少しはわかったかな…。
今日は架空の仕事で、イベントの打ち合わせっていう名目で
事務所の会議室へ。
一応メインの仕掛け人である私は
みんなより先に事務所に入ってまってなきゃいけない。
次に来るのはきっとよしこだ。

「おはようございまーす」

ドアの外から聞きなれた掠れた声。
ガチャリとドアが開いて入ってきたよしこは…金髪だった。

「……よしこ?」
「へへ、似合う?」
「どうしたの? その色」
「ん? ちょっとぐれてやろうかと思ってね」
「……」
「うそ。振り向かせたい人がいるから
どうやったらかっけ―吉澤になるか考えてさ」

…よしこ、完全キレてるよ…。
しかもドッキリ最終日だから、
今日はみんな全開で来るはずなんだよね…。どうなるんんだろ…。

「おはようございまーす」

次に来たのはやぐっつあんだった。
ほら、やぐっつあんもよしこのキンパにビビッてる。
ってかよしこ、やぐっつあんにらんでるし…。

「ごっつあーん」

でも、そんなことも気にせずに、やぐっつあんは私に抱きつく。

「ねえ、ごっつあん、おはよーのキスは?」

…忘れてた…
やぐっつあんも負けず嫌いだった…。

「え?」
「はやくぅ、チューして?」

そんな、語尾にハートつけて言わないでよ…
仕方ない…
私はやぐっつあんにちゅっと口づける。

「やった〜」

途端にとろけるように甘い笑顔になるやぐっつあん。
たまんないね(ヲイ)

ドタドタドタ…
今度は外から2人分の足音が…

「「おはようございまーす」」

梨華ちゃんと高橋が先を争って入ってきた。

「後藤さん」
「ごっちん」

2人して飛びつかれて…
細い2人とはいえ、流石によろける。

「な、なに?」
「「おはようのチューは?」」

あんたらもかい!!
…みんな悪乗りしすぎだよ…(泣)

まあ、先輩からということで、私は梨華ちゃんからキスをする。
そして高橋にチュってしたら、高橋が私の首に手を回したもんだから
思ったより長いキスになってしまった。
横目で見たよしこは、かなり苛ついていて
もうそろそろネタばれしないと、爆発寸前かも…。
…そして…
次に私に迫ってくるのは仕込みのスタッフの男の人なんだよね…。
その人は入ってくるなり、私の肩を抱いて耳元で
「ねえ、後藤さん、今日は一段とかわいいね」
なんて囁いてくる。
私が驚いてそのスタッフの目を見るって芝居をした途端、
よしこがそのスタッフに飛び掛った。

「やめろーーーーーー!!!」
「ちょ…よしこやめて!!」

よしこはマジキレしててスタッフを殴ろうと手をあげる。
私はその腕を必死で掴んで後ろから羽交い絞めした。

「人の彼女に何すんだよーーー!!!」

 

つづく

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