《3》 SIDE HITOMI

あたしのあまりの気丈さに救急隊員や
付いててくれてる通りすがりの看護婦さんの方が驚いてる。
だってね、今ここであたしが痛がったりなんかしてたら
ごっちん、どうなるかわかんないじゃん?
あたしの腕の中で半狂乱で叫び続けるごっちん。
今はただ、その背中をなで続けるしかできない。

救急車にはごっちんが一緒に乗ってくれた。

「ごっちん」
「何? よしこ。痛いの?」
「あのさ、病院着いたらさ」
「うん」
「うちの家族に連絡して?」
「うん、わかった」
「あと、事務所と飯田さんにも…」
「うん」
「ごめんね? せっかくの休みなのに・・・」
「ばかぁ、いいんだよぉ、そんなこと・・・」

涙で目を潤ませているごっちんを
不覚にもあたしはとても美しいと思った。


SIDE MAKI

病院に着いた。
よっすぃ〜はすぐにオペ室へと運ばれる。
私はよっすい〜に言われた通り、各所への電話連絡をする。
程なくしてよっすぃ〜のお母さんが来た。

「真希ちゃん、ひとみは?」
「まだ手術室です・・・」

私はなぜか、よっすぃ〜のお母さんの顔を見た瞬間
一度は乾いた涙がまた溢れてきた。

「あらあら真希ちゃん、泣かないで?」
「んぐ・・・でも・・・」

よっすぃ〜のお母さんは私のことを優しく抱き締めてくれた。
私はよっすぃ〜のおかあさんの胸でまた泣いた。


手術室のランプが消えた。
ドクターが出てきてお母さんと話をしている。
続いてよっすぃ〜がベッドに乗せて運ばれてきた。

「・・・ごっちん・・・」

私を見つけたよっすぃ〜が私の名前を呼んだ。

「ん? 何?」
「待っててくれたんだ・・・」
「当たり前でしょ」

短く会話を交わす。
私はお母さんとドクターの会話が気になり、
よっすい〜には後から病室に行くといい、お母さんのところへ行った。

「よっすぃ〜の・・・ひとみちゃんの足、どうなんですか?」
「・・・ひとみの病室に行きましょ? そこで話すわ」
「はい・・・」

お母さんの表情が芳しくない。
やっぱりあんまりよくないのかな・・・
あの傷を見てしまったら・・・どうしてもいい方向には考えられなかった。
でも、何があっても私はよっすぃ〜を支えていくって決めたんだ。


「あのね、ひとみ」

よっすぃ〜の病室、部屋の中にはよっすぃ〜とお母さんと私と
そして圭織とチーフマネージャー。

「何? お母さん」
「あなたの足はね、複雑骨折で開放骨折だったのね。
手術ではその骨を固定するために針金を入れたの。
全治2ヶ月で、後リハビリをして・・・
踊れるようになるのは3〜4ヶ月先だって・・・」
「そっか・・・」

よっすぃ〜は上を向いたまま、そう答えた。
きっと泣きたいだろうに、懸命に涙を堪えて。

「もう・・・辞めた方がいいのかな・・・」
「「だめ!」」

私と圭織の声が重なった。

「よっすぃ〜はモーニングに必要なんだからね」
「飯田さん・・・」
「休業ってことに出来ませんか?」

私もマネージャーに向かってそう言ってた。


結局、休業の方向でということで話を進めてくれる事になった。
そして、今病室には私とよっすぃ〜の2人きり。
私はよっすぃ〜の髪をただ静かに撫でる。
よっすぃ〜は気持ちよさそうに目を細めて微笑んでいる。

「ねえ、よしこ」
「ん?」
「がんばろうね」
「うん・・」
「また一緒のステージに立てるように・・」
「おう」
「私、毎日お見舞いに来るから」
「そんな、いいよ? 遠いんだし」
「やだ、来るもん」
「はいはい、わかったよ」

一回言い出したら聞かないこと、よっすぃ〜はよくわかってるから
苦笑しながらも頷いてくれた。
よっすぃ〜の足の痛み、心の痛みに比べたら、
ちょっと遠いくらいのこと、なんでもないよ。


そして、その翌日から私は毎日のようによっすぃ〜の所へ通った。

 

つづく

[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析