《2》 SIDE HITOMI

やっと久し振りにごっちんと同じ仕事になる。
それだけであたしは朝から心が弾む。

「あら、今日は機嫌がいいわね」

なんてお母さんに言われるくらい。
普段のあたしってどんなんだ?


「おはようございまーす」

ハイテンションのまま出勤し、ドアをあける。
何人か先に来てたメンバーが、あたしの元気よさに目を丸くしてる。

「…よっすいー。なんかいいことあった?」
「いや、別に〜」

矢口さんとか不思議そうに声をかけてくる。
テレビ局の楽屋に入っても、もうすぐごっちんに会えると思うと
具合も悪くならない。
メイクを超特急で済ませ、衣装に着替えるのも一番。
そろそろごっちんのところに行こうかって思ってたら
ごっちんの方から会いにきてくれた。

「おはよっ、よっすぃ〜。今日は元気?」
「元気元気。だってごっちん一緒だもん」
「なんだそりゃ」
「精神安定剤なの、ごっちんは」
「ははは、そう?」
「あ、でもそれいえてるかも」

離れていたところで見ていた矢口さんが突然そう言った。

「よっすぃ〜はね、ごっつあんといる時にすごいいい顔をするんだよ」
「そうだよね、こんないい笑顔、ここ最近見たことない」

飯田さんまでがそんなことを言う。

「そうなの?」

ごっちんが聞いてくるけど、あたしはテレてうまく返せなかった。

「ここんとこのよっすぃ〜は本当、こっちが心配になるくらい
元気なくてさ」
「あー、もういいっすよー。やめましょうよ」

矢口さんがあたしのことを説明しかけたけど
あたしはごっちんに、あまり心配をかけたくなくて
言葉をさえぎった。
というか、ごっちんの方もいっぱいいっぱいってこと、
あたしにはわかるから。
余裕かましているように見えるごっちんの
素の状態を見抜けるのは私だけなんだ。

その後、あたしとごっちんは
空き時間をスタジオ近くの自動販売機のそばで過ごした。

「本当に大丈夫?」
「何が?」
「体調」
「うん。マジ、今日はごっちんと一緒だから全然平気。ごっちんは?」
「うん、私も」

...こんなに、お互いを必要としているのに、
何で思うように会えないんだろう...
一緒にいれないんだろう...。

 

2003年。
恒例の正月ハロプロも終わり、今日は久し振りにオフ。
ごっちんのオフも重なり、今日はデートなんだ。
いつもいつもあたしが向こうの家に行くことが多かったんだけど
今日はごっちんがあたしの家に来てくれる。
だからあたしは今、駅までチャリでお出迎え中。
”もう着くよ...ってメールが入る。
あたしも”もう駅だよ...ってレス。
あの角を曲がれば駅はすぐそこ。
うまい具合に信号は青
......のはずだったのに...。
次の瞬間、あたしの視界は大きく傾いた。
同時に走る痛み。
気が付くとあたしは道路に横たわっていて、
チャリが足の上に乗っかってて、
見上げるとそこにダンプ。
あたしは自分の足を見る。


あたしの左足は ひざから下がぐちゃぐちゃだった。


ダンプを降りてきたドライバーの兄ちゃんが
あたしの足を見て焦る。
そしてあたしの顔見てあたしに気付いたのか、二度焦った。

「救急車! 誰か救急車呼んでくれ!!」

たまたま通りかかった夜勤明けの看護士さんが
あたしの横であたしに声をかけ続けてくれてる。
救急車のサイレンが遠くから聞こえてきて
段々と近づいてくる。
あ...ごっちん、気付いちゃうな...。
ってか、こんな傷見せられないべ?
あたしは自分のジャケットを脱ぎ、自分の足にかけた。


SIDE MAKI

おかしいな…よっすぃ〜来てないよ。
もう駅に着くよってメールきてたのに。
私はきょろきょろと駅前を見回す。
...何かあそこ、すごい人だかりできてる。

「ねえ、さっきの事故見た?」
「見た見た。グロかったよねー」
「足、ぐちゃぐちゃだったじゃん」

通りかかった女子高生の会話が耳に入る。
あの人だかりは交通事故だったのか。

「でも、どうするんだろうね。踊れないじゃん」
「うん。私別にファンじゃないけどさ、よっすぃ〜、かわいそうだよねえ」

...え? 今、よっすい〜って言った?

「ねえ、事故ったのってよっすぃ〜なの?」

私は思わず、その女子高生たちに声をかけた。

「あ...ゴマキ...」
「よっすぃ〜が怪我したの?」

私の勢いにびびりながらも、その子達はこくりと頷く。
うそ...
よっすい〜!!!
気がついたら、私は事故現場に向かって走っていた。
人だかりでよく見えないよ...

「ちょっとすいません、事故ったの、友達なんです」

そう言いながら人ごみを掻き分けて...。
ぱっと視界が開けたとき、私の目の前には
レスキュー隊員に足の上の車と自転車をどけてもらっている
よっすぃ〜の姿が目に入った。

「よっすぃ〜...」
「ごっちん、来なくていいよ」
「やだ!!!」
「だって、わざわざ傷見なくていい」

よっすぃ〜は止めるけど、私はその声を無視して近づく。
自然と目に入ったよっすぃ〜の足。
ぐちゃぐちゃで…骨が見えてた。

「よっすぃ〜!!  いやだ!!  よっすぃ〜!!!」

叫ぶ私をなだめるようによっすぃ〜は髪を撫でてくれる。

「大丈夫だから、ウチなら大丈夫だから」

大丈夫なわけないでしょ?
それでも、取り乱してしまいそうな私をしっかりと抱き締めながら、
よっすい〜は、私に向けて微笑み続けていた


つづく

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