<２>

練習も回数を重ねて来て、新聞やらテレビやらでその様子も
公開されるようになってきた。
あたしとごっちんはそのたびに名前が出る。
まだ安心出来ないけどこれって代表入りに近いって考えていいんだよね？
ごっちんとそう言う話をしたら
「いいんじゃない？」って。
私にとってはよっすぃ〜と一緒に代表入るのが目標なんだけどね
なんて嬉しい言葉まで付け加えてくれて。

代表発表まであと少しって時、
初めて外部のチームと試合をした。
はっきりいって実力の差は歴然だった。
サッポさんが言う今のハロプロでのベストメンバーで望んだにもかかわらず
相手のスピードについていけなかった。
試合が始まって１０分もたたないうちに、ピッチを見渡すと
他のごっちん、あさみ達の息は上がっていた。
本来ならソロコンをやっているごっちんなんかは
こんな運動量くらいでスタミナ切れ起こすなんて考えられなかったけど
それくらい相手のペースに巻き込まれちゃったってことだ。
あたし、試合の間中叫んでた気がするな…。
結果は２８-０。
ありえねえ…。

「よっすぃ〜」
「ん？」
「ごめんね？」
「なにが？」
「今日、役に立たなくて…」
「何言ってんの？　ごっちんのせいじゃないよ？」
「でも、怖い顔してるから…」

あたし、無意識で眉間にしわが寄ってたみたい。
周りを見ると、今日の出場メンバーがあたしを遠巻きに見てる。
どうやらごっちんが代表してご機嫌伺いに来てくれたみたいだ。
だめじゃん、あたし。チームメイト威圧してどうするって話だ。

「大丈夫だよ、気にすんな？　今度は勝とうね」

そう返す。
途端にふにゃっとした笑顔になるごっちん。
やっぱかわいいな。
この笑顔をピッチでも見たいな。

そして代表発表の日。
あたしたちはマネージャーから代表選手の書いてある紙をもらう。

吉澤ひとみ

あたしの名前は一番にあった。
キャプテン　って書いてある。
がんばった甲斐あったな。
そして次に探すのはもちろんあの子の…

後藤真希

あった！
そりゃそうだろうな。
スピード感はすごいもん、ごっちん。
ごっちんと一緒に代表に選ばれてよかったな。
そう思ってたらメールが着信。

やったね、一緒にがんばろうね

ただそれだけだけど、つたわったよ、ごっちん。

一緒にいい汗ながそうぜぃ

あたしもそれだけ返した。

吉澤と後藤
よっちゃんとごっつあん
よっすぃ〜とごっちん

いろんなところで二人対になって出る名前。
なんか昔に返ったみたいで懐かしい。
でも今は新しい吉澤と後藤だから
きっと新しいコンビネーションを見せられるはず。

今日は早速ごっちんの家に行こう。
そしてドームのピッチへの夢を語り合おうね。
ろくにクラブ活動出来なかったあたしたちの、遅く来た青春熱血物語だね。

つづく

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