《4》
後藤真希はあたしのものになった。
ずっとデビュー前から憧れ続けてたごっちんが
今はあたしの彼女だ。
生まれてから初めて相思相愛になった彼女が
後藤真希だなんて、最高じゃん。
本当はみんなに言いふらしたかった。
だけど、こんな恋愛いえるわけないよね。
だから、せめて同じ空間にいる時はいつも一緒にいた。
一分、一秒でも多く、ごっちんの事見てたかっら。


そんなある日のこと―。

その日、いつまでたってもごっちんが現場に現れなかった。
遅刻なのかな…。
そしたらマネージャーが楽屋に来て

「後藤、今日は風邪で休みだから、
台本とか変更あるから、早めにメイク仕上げてくれ」

…まじ?
昨日、駅で別れた時は元気そうだったのに…。
そこからのあたしはそうとう落ち着きがなかったことだろう。
マネージャーのいうことも耳に入って来ないし
笑顔だって作れなかった。

「…よっすぃ〜?」
「…はい?」

あまりにもふさいでいるあたしに、矢口さんが声をかけてきた。

「元気ないねえ」
「…そうっすか?」
「…ちゃんとしなよ?」
「はい…ウチ、ちょっとトイレに行ってきます」

あたしは携帯を握ってトイレへ駆け込んだ。
本番までに、自分を取り戻さなきゃ…
そのためにはごっちんの声が必要だ。

何回か流れた呼び出し音の後、
掠れた声のごっちんが電話を取った。

『もしもし?』
「もしもし、ごっちん? ウチだけど…」
『どうしたの? 今、もう仕事でしょ?』
「うん…。ごっちん…大丈夫?」
『身体は元気なんだけどねえ、喉がねえ…』
「大丈夫? 会いに行きたいよぉ」

情けない声が出た。

『仕事でしょ? それにうつっちゃいけないし』
「やだよぉ」

涙声のあたしに、ごっちんは

『ねえ、よしこ』
「ん?」
『言っていいよ』
「え?」
『みんなに言いたいんでしょ?』
「…いいの?」

見抜かれてた。
ずっとごっちんとのこと、みんなに言いたいって思ってたこと。
だって、こんな時、表立って心配できないの辛い。
こんな時は、本当に心配そうな顔してたいじゃん。

『いいよ。でも、世間的には異常な関係だってこと
わかってなきゃいけないよ?』
「覚悟できてる」
『じゃあ、いいよ』
「うん…」

ごっちんとの電話を切った後、
あたしの心中は想像以上に落ち着いてて。
だってね、ごっちんがいてくれたら何も怖いものなんてないんだよ。

 

楽屋に帰ったあたしは、
ずっと携帯を握り締めてた。
もう、誰に気を使う必要もない。
決めたんだから…。
心置きなくごっちんを心配しよう…。

「よっすぃ〜?」

飯田さんが声をかけてきた。

「はい?」
「どうしたの?」
「ごっちんが心配なんですよ」
「メールでもしたら?」
「あー、さっき電話で話しました」
「そうなの? でも心配なの?」
「そりゃあ、大事な彼女ですからねえ」

言っちゃった。

「そうなんだ。……って、彼女??」
「はい!」
「彼女って…彼女?」
「そうですよ」
「彼女彼女ってなんなの?」

矢口さん、参戦。
ちょうどいいや、師匠にも報告しとこう。

「だって、よっすぃ〜が大事な彼女っていうから」
「彼女? 彼氏の話じゃなくて?」
「そうなの」
「…よっすい〜? 彼女なの? 彼女できたの?」
「はい!」
「よっすい〜ってそういう趣味なの?」
「そういう趣味です」
「…で、彼女の話って何?」
「よっすぃ〜がさ、元気ないから圭織、聞いたのね
 そしたら、大事な彼女だから心配なんですっていうの」
「…ちょい待って。話見えない。
彼女が心配って…彼女、どうかしたの?」
「今日、休んでるじゃないっすか」
「…ごっつあん?」
「はい」
「まじ??????」

はあ、これで、あと一時間の間には
メンバー全員には広がってるだろう。
これでいいんだこれで。
正直な話、あたしのイレギュラーな部分に
引かれるかもしれない。
でも、それでもいいって思った。
これから先ずっと
隠しとおせる自信もなかったし。
これでよかったんだ、これで…。

 


「あら、わざわざごめんなさいね、
真希なら部屋にいるから、あがってちょうだい」

仕事終わりで、あたしはごっちんの家に行った。
きちゃダメだって言われてたけど、
どうしても会いたかった。
部屋のドアをノックした。

「は〜い」

ガチャ
ドアを開ける。

「ごっちん」
「…よしこ?」
「うつるからダメって言ったじゃん」
「だって会いたかったんだもん」

ごっちんに駆け寄り抱きしめる。
風邪がうつるからって顔をそむけるごっちん。
さみしいじゃん、やめてよ。

「こっち向いてよ」
「ダメだってば」

そんなごっちんを強引にこっち向かしてキスをする。

「も〜、ダメだって言ったのに。
よしこ倒れたら、悲しいじゃん」
「そう思ってくれるの? じゃあ風邪もらっちゃおかな」
「ダメだよぉ。心配で死んじゃう」

始まりはあたしから。
でも、今はごっちんもあたしを愛してくれている。

「今日ね、言っちゃったよ」
「何を?」
「ごっちんが彼女ってこと」
「そうなの?」
「うん…」

もう、あたしは悩まない。
イレギュラーだっていいじゃない。
だってあたしはごっちんを愛してしまったから。
もし、みんなに理解されなくても、
ごっちんがいてくれれば大丈夫。

「よしこはよしこだよ?
私はよしこだから好きになった。
男とか女とか意識しなかったよ?」

ごっちんが言ったこの言葉は、あたしの一生のお守り。

 

Fin

あとがき
絶対バッドエンディングにはしたくなかった。
最後は甘く終われてよかった^^

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