《6》
SIDE HITOMI
今日、あたしは市井さんに会いに行く。

「ねえ、本当に一人で大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「話し終わったら連絡してよ?」
「うん、するから」

ずっと心配するごっちんをなだめて、
あたしは市井さんが独り暮らしをするマンションへ向かった。


「話ってなんですか」

あたしが単刀直入に切り出す。

「後藤のことなんだけど」
「元気ですよ、ごっちんなら」
「吉澤、そんな突っかかるなよ」

知らず知らずにあたしはけんか腰になってたのだろう
市井さんがそんなことを言う。
暫くの間、嫌な沈黙が流れる。

「吉澤」
「はい?」
「吉澤はさ、後藤のことどう思ってんの?」
「…親友です」
「本当にそれだけか?」
「ハイ、今のところは」

本音だった。
今は親友、出も実際は親友以上の感情をもっているのは確かで、
でもそれはあたしの一方的な感情でしかないわけで。
そんな内面を市井さんは見抜いているのだろうか。

「吉澤」
「はい」
「芸能界ってとこはさ、ライバルは早いうちに潰すのが一番なんだよ」
「…何が言いたいんですか?」
「吉澤はきっと私のライバルになる人間」
「…ウチを潰すってことですか?」
「そうとるってことはさ、吉澤も私を
ライバルだって思ってるわけだ?」

…この人は何が言いたいんだ?
いらつく…

「ごっちんを渡さないって言いたいんですか?」
「そう取れるか?」
「そういう風にしか聞こえないです」
「後藤はなあ、ずっと市井のものなんだ」

なんだそれ…。
ごっちん置いて辞めたのあんたじゃん…。
そう言いたいのをあたしはぐっと堪えた。

「ごっちんの…ごっちんの気持ちはどうなるんですか?」
「後藤の? 後藤の心は市井のものだよ」

変な自信にあたしは内心呆れる。

「市井さん」
「なんだよ」
「ウチはキャリアも実力も市井さんには劣ります。
でも、ごっちん想う気持ちは負けないつもりですけど」
「じゃあ、勝負するか?」
「勝負?」
「おう。後藤をかけた勝負だ。
負けた方が手を引く。どうだ?」
「受けてたちます」

…ごっちん、ごめんね。
あたし、我慢できなかったよ。

 

SIDE MAKI
夜遅くなってよっすぃ〜が帰ってきた。

「ごっちん…」

私の顔を見るなり、よっすぃ〜はへなへなと床に座り込んだ。

「ちょ…よっすぃ〜、大丈夫?」
「ごっちん…ごめんね…」
「何? 何がごめんなの?」

私が聞いてもよっすぃ〜は首を横に振るだけ。
いちーちゃん、何を言ったんだろう…。
よっすぃ〜を傷つけるようなことを言ったなら
例えいちーちゃんでも許さない。
そういったらよっすぃ〜は安心したような笑顔を浮かべた。

「今日、泊まって行くでしょ?」
「あー、そうだね…、もう終電ないや…」

よっすぃ〜ん家は外泊に厳しくて、
いつも終電ギリギリで帰ってたけど…。

「家に電話するよ」

いっぱい怒られたらしいけど、
何とかOKもらってプライベートでは初めての外泊。
今日のよっすぃ〜は元気ないから、
ごとーがパワーあげるんだ。

「あの…、ウチ、どこで寝ればいい?」

私は躊躇することなく、自分のベッドを指差す。

「…へ?」
「一緒に寝よ?」

口下手な私、今のよっすぃ〜を癒してあげるにはどうしたらいい?
私は遠慮がちにベッドに入ってきたよっすぃ〜の胸に顔をうずめた。

「ご…ごっちん?」
「今は、私が帰る場所、ここだから」
「うん…」
「だから自信もって?」
「うん…」

遠慮がちに私の背中を抱くよっすぃ〜が今はとてもいとおしい。

いちーちゃん、ごとーは今この人が…
吉澤ひとみが必要なんだよ?
よっすぃ〜を苦しめないで…
何か苦悩しているような寝顔に、私の胸は少し痛んだ。

 

つづく

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