《2》
SIDE MAKI
いちーちゃんが今日脱退する。
私は寂しくて仕方ないのに、いちーちゃんはなぜか笑顔。
いちーちゃんは私と離れるの寂しくないの?
今日も私はそんないちーちゃんの横顔を見てるだけで…
ああ…また胃が痛くなってきた…
…視線を感じる。
また、吉澤さんが見てる…。
心配されたくない。
同情されるなんて絶対いやだ。
私はいちーちゃんが好きなの。
離れたくないの。
…これって愛情だよね?
いちーちゃんに依存してるだけじゃないよね…。


ライブが終わってしまった。


「いちーちゃん!」

私はいちーちゃんを呼び止める。

「ん? なんだ?」
「また会えるよね?」
「おう、帰ってくる」
「じゃなくて、プライベートでだよ?」
「気が向いたらな」
「いちーちゃん…」
「後藤」
「なあに?」
「後藤はもう一人でも大丈夫。
後輩も出来たんだよ? もっとしっかりしろ」
「だって…」
「これからの後藤は今まで私と同じ立場なんだよ」
「いちーちゃんと…」
「そうだよ」
「出来ないよ、そんなの…」
「後藤ならできる」
「でも…」
「さあ、マネージャーが呼んでたよ。行ってこい」

いちーちゃんは優しいのか冷たいのかわからない態度で私を突き放した。

 

スタッフに呼び出されてスタッフルームへ行ってみると、
そこには圭ちゃんと吉澤さんがいた。

「今度、吉澤がプッチモニに入ることになったから」

…え?


SIDE HITOMI
あたしがプッチモニに加入?
てっきりあたしは入るとしてもタンポポだと思っていて
今日の決定ははっきり言ってめっちゃビックリした。
……
はあ〜、保田さんも後藤さんも複雑な顔してるよ…。
そりゃそうだよね、
たった今、市井さんが抜けたばっかりなのに
じゃあ次に吉澤が入ります。じゃ納得できなくて当たり前だ。

でも、あたし的にはチャンスだと思った。
いまだ受け入れてくれない後藤さんに近づくチャンス。
絶対に振り向かせて見せる。
あの市井さんに向けてた柔らかい笑顔を
あたしに向けさせて見せる。
方向は違うかもしれないけど、あたしはそう決意した。


SIDE MAKI
「何なのよ、さっきの態度」

圭ちゃんに怒られた。

「え?」
「何で、吉澤と目もあわせなかったの?」
「だって…」
「気持ちはわかるわよ。紗耶香のことでしょ?」
「うん…」
「プッチモニは今日で終わったの」
「圭ちゃん…」
「で、今日からは新しいプッチモニなの」
「……」

黙り込む私に、圭ちゃんは一枚の紙を渡した。

「なに?」
「電話して謝りなさい」
「え?」
「これ、吉澤の電話番号だから」
「…」
「ちゃんと電話するのよ」

それだけ言うと、圭ちゃんは先に部屋を出ていった。


家に帰ったあと、私は圭ちゃんにもらったメモを取り出した。
090で始まるその番号と、自分の携帯を交互に見つめながら
私はかけるべきかどうか悩んだ。
……圭ちゃん、怖いからかけよう…

何回かの呼び出し音の後、電話が繋がった。

『…もしもし?』
「あ、よしざわさん? 後藤ですけど」


つづく

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