《2》

翌朝、私は目覚まし時計無しで起きる。
といって早く起きても何もすることがないんだけど。
しょうがない、ヤツのランニングに付き合ってやるか。
私はチャリにまたがり、
あいつが毎日走ってるといっていた川沿いのコースへと行く。
少し高台になったところから見下ろすと、
あいつのことはすぐに見つけられた。
私はチャリで近くまで行く。

「おはよう」
「あ、おはようございます。後藤さんもランニング?」
「ううん。吉澤さん見に来たんだけど」
「まじっすか! めっちゃうれしい」

そう言って微笑む吉澤さんの笑顔は、めっちゃかわいかった。
私はテレくさくて目線を外したままでいう。

「明日からも来るから」
「やった!!」

おっきいめを細くして笑う吉澤さんに、
不覚にも私の胸はどくんと高鳴った。

「あ、後藤さん、学校は?」
「一応いってる。 吉澤さんはやっぱ学校でもボクシング部?」
「いや、うち、今日転校なんですよ」
「そうなの?」

何でもウチのジムに通いたいがために引っ越してきたらしかった。
世界チャンプがいないようなジムのどこがよかったんだろ…。
とりあえず学校の時間があるから
バイバイってそれぞれの家に帰った。


「さあ、今日は転校生がおるでー」

朝のHR、中澤先生がそう言うと、
教室は期待でいっぱいになる。

「みんなの期待通り、めっちゃかわいいで」
「うおー」

ウチらのとこって一応女子校なんだけど。

「入ってきぃ」

先生の声にがらってドアが開く。
あれ?

「「あ…」」

私と吉澤さんはお互いを指差して止まった。

「な、なんや? 二人知り合いか?」
「ちょっとした…」

何でだろ、私、本当のこと言えばいいのに。

「じゃあ吉澤、後藤の隣りな。頼むよ、後藤」
「はーい」

めんどくさ…。
でも怒ると怖い中澤先生の言うことだけは守らないとね。
なので次の休み時間、私は吉澤さんに校内を案内することにした。

一通り回って、私は最後に屋上に連れて行った。

「ここは、私のお気に入りの場所」
「いいの? そんなこと教えてくれて」
「一応、ボクサーとトレーナは信頼関係大事だしね」

何かテレくさくて、私は話題を替える。

「あのさ、クラブどうするの?」
「入らないです。そんな時間あったらジム行きたいし。
ところでこの学校はボクシング部あるの?」
「あるよ」
「後藤さんは?」
「あー、昔は入ってたけど辞めた」
「辞めたの? なんで?」
「......」
「あ…ごめんなさい。聞いちゃいけなかったんなら、忘れて?」
「いや、言うよ。ほら、見てみ?」

私は吉澤さんの前に左手を差し出した。


つづく

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