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「じゃあレギュラーメンバーを発表する。
ピッチャー後藤 キャッチャー吉澤 ファースト加護
セカンド矢口 サード里田 ショート紺野
レフト新垣 センター高橋 ライト亀井
後は控えに回ってもらう。
俺なりに考えて、最高の勝てるメンバーで考えたつもりだ。
がんばってほしい」

発表の後、早速うちらはグラウンドに散る。
改めてピッチャーって言われてから
ごっちんは始めてマウンドに上がった。
あたしはホームベースについてミットを構えてやった。

「遠いよぉ」

17mの距離。
マウンドから見た距離がごっちんには相当遠く見えるようだ。

「よしこ、立ってて」
「ん、わかった」

距離になれるために普通にキャッチボール。
スピードを乗せないボールはきれいにコントロールされるけれど
少し力を入れると途端に球が荒れだす。

「はあ〜ダメだぁ」

しゃがみこんだごっちん。

「ごっちん…」
「やろ? やるしかないんだもん」

この日、投げ込みは夕方まで続いた。

 

ウチらに与えられた練習期間は一ヶ月。
つまり翌月にはもうリーグ戦が始まった。
ハローANGELSと名づけられたウチらのチームの初戦は
オスカーとの対戦。東京ドーム。

「やっば」

試合開始前、ベンチ裏でごっちんが青い顔でそう言う。

「どした? 胃、痛い?」
「うん…」
「まじ?」

緊張が過ぎるとすぐ胃が痛くなるごっちん。
あたしは水と胃薬を持ってきてやった。

「はい、飲んで?」
「ありがと…」

無論、ごっちんだけが緊張しているわけじゃない。
あたしだって心臓が口から出てくるんじゃないかってくらい
緊張していた。
でも、あたしがそれを顔に出すと、
ごっちんがもっと緊張するのは目に見えているから
あたしは平気な顔でやり過ごす。
他のメンバーだってそうだ。
最初の守備機会が来るまでは
緊張は解けないんだろうなってそう言ってた。
あたしはごっちんが飲んだ胃薬が効いてくるまで
後ろから抱っこして、胃の辺りを擦っててやった。

「気持ちいい〜」

ごっちんがあたしにもたれてくる。

「眠い?」
「昨日あんまり寝れなかったからねえ」
「少し、寝るといいよ。まだ時間あるし」
「うん…そうする…」

何のための野球なんだろう。
いまだにそのリーグ発足理由はわからない。
ただ、ウチらは本業以外にもいっぱい時間を割かなきゃいけなくて
神経削って肉体も削って
ただ、闘争本能を呼び覚まされて
勝つことだけに夢中になろうとしてる。
あと1時間半もしたら、プレイボールだ。
ウチらの非日常な日々が始まるんだ。


つづく

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