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SIDE HITOMI

身体の為には抱かないほういいんじゃないかって思う。
でも、ごっちんはあたしに抱かれることを望む。
今の…手術痕のない身体を覚えててほしいって言う
ごっちんの気持ちもよくわかる。
そりゃ抱きたいよ?
中澤さんに抱かれて…
一瞬でもあたしのもの以外になったのがいやだから
またあたしのモノだって確認したい。

「体調大丈夫だから…しんどくなったら言うから」

そこまで言わせて何もしないわけにはいかない。


あたしはごっちんの服を脱がせ始めた。

「真希…きれいだよ…」
「覚えてて? 私の身体」
「うん…」

メスが切り裂くであろう、ごっちんの鳩尾あたりに
あたしはゆっくりと、慈しむようにたくさんのキスを落とす。

「気持ちいい…」
「きもちいい?」
「うん…治るみたいだよ…」

全身に、何個も何個もキスを落とす。

「ねえ、よっすぃ〜」
「ん?」
「傷跡できてもさあ…」
「ばか、関係ないって言ってるでしょ?」

あたしはどんなごっちんでも愛し続けるよ?


次に抱けるのはいつになるんだろうな…
あたしたちは、時間を惜しむように朝まで何回も身体を重ねた。

 

SIDE MAKI

いよいよ翌日が入院だという日、
私はモーニングのみんなに挨拶をするために
事務所へ向かった。
すれ違うみんなが声をかけてくれて
正直うれしかった。

控え室のドアをノックする。
「は〜い」
って誰かが返事する声が聞こえる。

「ごとーだよ」

私が返事をすると、すぐ裏で待ってたんじゃないかって
早さでドアが開いた。

「ごっちん!!」

飛びついてきたのは加護だった。

「な〜に、どうしたの?」
「戻ってくるやんな? ごっちん、絶対戻ってくるやんな?」
「当たり前でしょ? だからそんな顔しないの」

もう半泣きをとおりこして泣く5秒前って感じの
加護を抱きしめてやる。
ふと気がつくと加護の後ろにも
ずらりとメンバーが並んで待っていて
私は一人一人とゆっくりと抱き合った。

「みんな、ごっつあんのことが大好きなんだから
絶対に元気になって戻ってこいよ!」

やぐっつあんがそういってくれた言葉が胸にしみた。


「あれ? よっすぃ〜はハグしないの?」

よっすぃ〜だけが私に抱きつかないのを見て
圭織が不思議そう。
まあね、モーニングにいたころは
これでもかってくらい一緒にいたから。

「あ〜、あたしはいいんです。
帰ったらいくらでもできるから」
「…はい?」
「あれ? 言いませんでしたっけ?
あたし、今、後藤家にお世話になってるんですよ」

よっすぃ〜…そんな大事なこと、誰にも言ってなかったのね…。

「なんだよっ、お前らしっかりバカップルやってるんじゃねえかっ」

やぐっつあんの鋭い突っ込みに場が和む。
こういうときは本当にムードメーカーのやぐっつあんの存在がありがたい。
まあね、最後尾にいたはずのよっすぃ〜が
今はしっかり隣にいて手まで繋いじゃってるんだから
バカップルといわれても仕方ないんだけどね。

 

楽屋を出て行くとき、私は振り返らなかった。
否、振り返れなかった。
振り返ったら泣いてしまいそうで
それだけは避けたくて。

「よっすぃ〜、送っていってやんな」
「はい」

メンバーから言われたよっすぃ〜が私の隣に来る。

「いいよ? 仕事あるでしょう?」
「うん、でも時間あるから。時間が許せるとこまで送っていく」
「ありがと…」

私は、あふれそうな涙を抑えるために
しっかりとよっすぃ〜の手を握った。

 


翌日、私はお母さんに付き添われて病院へ行った。
よっすぃ〜は最後まで一緒に行くといって駄々をこねてたけど
仕事があったから、だめだって言った。
よっすぃ〜には、手術当日にそばにいてほしいから
その日は無理やり言って休み取ってもらってるから
だから今日は仕事行ってもらわなきゃだめなんだ。
愚図るよっすぃ〜をなだめすかして
キスをいっぱいして仕事に送り出した。


入院すると、また膨大な検査があって
手術のことをあれこれ思い悩む暇はなかった。
お母さんは主治医の先生から
手術のことをあれこれ説明を受けたり
合併症やらリスクの話を聞いたりしたらしいけど
未成年の私はそこに同席することも免除されて
病院中を市中引き回しの刑みたいにあちこち回った。
廊下なんかで「あ、ゴマキ」なんて何回も言われて
そのたびに営業スマイルをしてしまうのは
私の悲しいサガかしら。


いざ入院してしまうと、夜はすることがなくて結構ヒマ。
携帯でメールをしたり
暇つぶしにと持ってきたノートPCでネットしたり。
ちなみによっすぃ〜からはこの夜だけで20回メールが来た。
そんなに心配だったら空き時間に面会に来たら? って返したら
いく!! ってレス。
どうやら私がそう言うの待ってたみたいだ。


手術前日には仕事を終えたよっすぃ〜が駆けつけてくれた。
完全絶食でおなかがすいて不機嫌な私をなだめ
明日のオペを前に不安でいっぱいな私の手をずっと握っててくれた。
やっぱり持つべきは優しい彼女、だね。

 

つづく

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