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SIDE HITOMI


仕事が早く終わった。
まっすぐに家に帰ってごっちんとゆっくりしよう。
そう思ってあたしは家路を急ぐ。

「ごっちん、ただい……ごっちん?」

部屋にごっちんがいない。
退院して一週間
まだ一人でどこへも出かけたことないのに…。

上のお姉ちゃんは家にいた。
じゃあ店?
あたしは店へ行く。

「あら、ひとみちゃん、どうしたの?」
「いえ、ちょっとよっただけ…」

店には下のお姉ちゃんとお母さんだけ。
まさか祐樹と?

「もしもし、祐樹?」
『おぉ、よっすぃ〜、どうしたの?』
「真希ちゃん…いる?」
『真希ちゃん? 一緒じゃないよ?』
「そっか…ごめんね」
『真希ちゃんがどうかした?』
「…いないんだよ」
『はい?』
「あたしが仕事の間にどっかでかけたみたい」
『わかった。俺も心当たり電話してみるよ。
もしいたら電話するね』
「うん、ありがと、頼むね」

…ったく、どこ行ったんだよ…
ねえ、あたし、なんかしたっけ?
なんで…なんで何も話してくれないんだよ…。

 

誰にも心配かけたくなかったから
あたしは自分の足でごっちんを捜すしかなかった。
心当たり…
まさか…ねえ…
このときばかりは自分の直感が外れてほしいと思ったことはなかった。
あたし、今ごっちんが中澤さんといるとこ見たら
何するかわかんないよ…。


祈るような気持ちで中澤さん家のインターホンを押す。

『はい』
「吉澤です」

言わなくても向こうのモニターに映ってるんだろうけど。

『……どうぞ』

返事が返ってくるまでの間に
あたしはそこにごっちんがいるであろうことを悟る。
頭に血が上ってくるのが自分でもわかった。
それを堪えようと思うと
今度は涙があふれてきた。
中澤さんがドアを開けてくれたときには
あたしの目は真っ赤だったに違いない。


「…よっさん…」
「…ごっちん…真希、いますよね?」

いますか? じゃなくて断定で。
だって確信めいた気持ちがあったから。

「…ああ、おるで」


「何も…してないですよね?」

あたしは靴を脱ぎながら中澤さんを睨む。

「……もし、なんかしたって言うたら、よっさんはどうするんや?」
「……たとえ相手が中澤さんであっても殴ります。
でも…」
「でも?」
「中澤さんといることのほうがごっちんにとって大事なんだったら
あたしは…」


だって…
ごっちんは苦しいときにいつも中澤さんのとこに逃げ込んでる…。


 

つづく

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