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SIDE HITOMI

なんかすっごい気持ち良い夢を見てた気がするんだ。
甘いにおいの中で
ずっと誰かが髪をなでててくれて…。
朝、目が覚めると、目の前にごっちんの寝顔があった。
ごっちんの顔を触ろうと手を上げると
点滴のチューブが付いてきた。
あ…そうか、
あたし、昨日ライブ中に倒れたんだっけ。

「真希…」
「…あ、おはよう…大丈夫?」
「うん、もうすっかり元気。
ごめんね、心配かけて」
「ううん…こんなのよっすぃ〜がしてくれたことに比べれば
どうってことない」


本当に反省だよな…。
ごっちんに心配かけるなんて言語道断だよ。
この日、ごっちんはずっとあたしの検査について回ってた。
ドクターからはどっちが重病人かわかりやしないなんていわれる始末。

あたしの診察結果は過労と睡眠不足、栄養失調から来る貧血。
この一ヶ月ろくに寝てなかったし食べてなかったから
もともと貧血気味のあたしにとっては
当然といえば当然の結果なのかもしれない。
今の状態はかなり貧血がひどいから
薬を処方される。
いわゆる鉄剤ってやつ。
「飲まなきゃ踊れないよ〜」なんて脅されて
薬嫌いのあたしも仕方なくうなづいた。

 


「どうだった?」
「貧血だって」
「原因は?」
「過労と睡眠不足と栄養失調」
「…栄養失調??」

そりゃ当たり前の反応だわな…。
ごっちんのまえではめっちゃ食べてたんだもん。
それ以外ではほとんど食べてなかったなんて言ってないし。
怒られりゅ?

「…食べてなかったの?」
「ひゃい」
「なんで?」
「食欲なかったから」
「なんでなかったの?」
「疲れてたからだと思われましゅ…」
「ばか…」
「ごめん…。でもさ、あたし、自分の身体よりも
真希ちゃんの身体のほうが大事で…」
「私はよっすぃ〜が身体壊すのいやだよ?」
「うん…そうだね…」

ごっちんの言うことももっともで。
あたしがごっちんに尽くしてあげたいと思うのは
愛してるって事への自己陶酔もあるかもしれない。
ストレスが大敵の彼女の病気に
あたしが倒れたらこれ以上のストレスはないわけだから…。

「薬は?」
「出たよ」
「見せて?」

あたしは今もらったばっかりの薬を見せる。

「増血剤か…。これ、副作用きついよ?」
「嘘…」
「私、飲んだことあるもん」
「…きついの?」
「うん、私は軽くすんだほうだったけどさ」
「うぅ…」
「大丈夫、私が面倒見る」
「え?」
「明日退院だから」
「はい?」

なんでもいつ退院してもいいって言われてたらしく
あたしが倒れたことを受けて
明日退院することに決めたらしい。

「なんだかねえ、うちら」
「もちつもたれつっての?」
「まあそういうわけだから、何も気にせずに仕事していいよ」

そんなこと言われても
大手術を終えて退院したばかりの子に
おんぶに抱っこできるわけないし…。
また、明日から苦悩の日々が始まるのかな…。


 

つづく

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