14

 

SIDE MAKI

今日はいつまでたってもよっすぃ〜が来ない。
今日は横浜でライブだからそのせいで遅いんだろうな。
って、安心してたんだけど…。
23時過ぎて部屋をノックする音

「おかえり」

私の声に、ドアを開けて入ってきたのは…

「あれ?…やぐっつあん?」
「ごめんよ、よっすぃ〜じゃなくて」
「…よっすぃ〜は?」
「……」
「…なんかあったの?」
「今日さ、ライブだったのね」
「うん、横アリだよね?」
「そう。その公演中に倒れたんだよね」
「…誰が?」
「よっすぃ〜」
「……」
「でもたいしたことないんだよ?」

あせったようにやぐっつあんが付け足す。
私にとっては症状の軽い重いは問題じゃない。
ただ、倒れたって事実が私の胸を締め付ける。

「…で、どうなの?」
「過労から来る貧血だって」
「そっか…」
「今日一晩入院になるって」
「…私のせいだよね…」
「そんなことない! それをいわれるのが嫌だからって
よっすぃ〜は頑張ったんだからさ
ごっつあんがそんなこといったら駄目じゃん」
「そうだけど…」
「よっすぃ〜さ、この病院に入院してるから」
「ほんと?」
「うん。横アリ近くの病院に連れて行こうとしたらしいんだけどさ
朦朧としてるくせに”ごっちんと同じ病院へ連れてって”って
わがまま言ったらしいよ」
「そうなんだ…」
「いってやんな?」
「行っていいのかな…」
「何でそんなこというの?」
「だって私のせいで…」
「違うよ。よっすぃ〜にとっちゃごっちんが一番の薬だよ」
「わかった」


やぐっつあんにありがとうって言って
私はよっすぃ〜が入院してるって言う病室へと急ぐ。
眠ってるであろうよっすぃ〜をおこさないように
静かにドアを開けると
月明かりの中でよっすぃ〜が眠っていた。

「よっすぃ〜…」

そう呟いて青白いほほをそっとなでる。
いつの間にかやつれた顔になっていて
こんなに疲れた顔してるなんて
今まで気づかなかったよ。
ごめんね、よっすぃ〜。
不意に涙があふれて、よっすぃーの頬にぽたぽた落ちる。

「……真希ちゃん?」

よっすぃ〜の目が開く。

「ごめんね、よっすぃ〜」
「ん? 何が?」
「倒れるまで疲れてたなんて…。
気づかずにごめんね?」
「そんなことないよ。
自分の自己管理が甘かっただけ。
真希ちゃんのせいじゃない」

しんどいくせに、そう言って私の頭を撫でるよっすぃ〜。

「早く退院したいよぉ」
「なんで?」
「そしたら私、よっすぃ〜の為に料理して
よっすぃ〜が眠るまで子守唄歌って…
絶対によっすぃ〜が疲れないようにする…」

ぐずぐずということを言う事を聞かない涙腺をなだめながら
退院後のちっちゃな夢を語る。

「そんなことしてくれんだ」
「うん、するよ?」
「楽しみだぁ」

心底期待した笑顔を浮かべるよっすぃ〜がたまらなくいとしい。

「キスして…いい?」
「してくれんの?」
「したい」
「して?」

ベッドの上のよっすぃ〜に覆いかぶさるように
長くて深いキスをした。
その夜は、よっすぃ〜の腕の中へ落ちていく
点滴のしずくをじっと見つめていた。
途中、見回りに来た看護婦さんが
私も寝るようにってそう言った。
でもね、今日はずっとこうしてたいんだ。
よっすぃ〜は違うっていうけれど
100%私の看病してたせいで。
そういう風に看護婦さんに言ったら
しかたないわねえ。一緒に寝れば?って。
言われなくてもそうするつもりだったんだけどね。
だってずっと入院中はそうしてたんだし。
今日は薬で眠るよっすぃ〜を起こさないように
でも、よっすぃ〜の髪をなでながら
私は朝まで眠ったんだ。


 

つづく

[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析