SIDE MAKI


最初は夏バテだと思っていた。
胃が痛くなることなんてしょっちゅうだったし、
胃薬は常備薬だったし。
体重が二ヶ月に5キロやせても、ダンスのせいだと思ってた。
そのうち、脂っこいものを食べると吐くようになった。
ひどいときは毎日吐いてた。
ああ、今年は夏バテきついななんて考えて、
胃薬毎日飲んで。

そんなある日、ハロプロライブの楽屋で
ケータリングを食べたあとに、すっごく気持ち悪くなった。
隣によしことか加護がいたから
心配かけないように早めに席を立って、
私はトイレに駆け込んだ。
リバースしたものは真っ赤だった。
…あれ? 私、さっきトマトなんて食べたっけ…。
ライブが終わったあとも、ホテルに戻ってからも
私が吐いたのは真っ赤なもの。
流石におかしいんじゃないかって…
いくら私が鈍感でも思うわけで…。

私が駆け込んだのは……裕ちゃんの部屋だった。

「なんやごっちん、どないしたんや?
顔色悪いで?」
「うん…吐いた」
「吐いたって…大丈夫なんか?」
「う〜ん…」
「大丈夫ちゃうんか?」
「微妙だねぇ…」
「よっさんには…」
「だめ、言わないで」
「なんでや。あんたら付き合ってんやろ?」
「だからダメなの」
「……なあ、どうしたんや?」
「裕ちゃん…私が吐いたの…真っ赤だった…」
「…まじ? それやばいやん!」
「血…だよね…」
「東京戻ったら病院行き!」
「やだよ…怖い…」
「アホか。取り返しつかんことになったらどうすんねん!」
「取り返しつかないって…やっぱりそうだよね…」
「まだ決まったわけやらへん! 
それに仮にそうやったとしても早かったら助かるんやで?」

裕ちゃんは不安で押しつぶされそうな私をぎゅって抱いてくれた。

「裕ちゃんが付いて行ったるから…な? 病院行こ」
「うん…」

 

東京に戻って数日後、私は裕ちゃんに付き添ってもらって
大学病院へ出かけた。
初診で問診をされ、症状を話すと
すぐに次回の検査予約を入れさされた。
血液検査、エコー、胃カメラ。
正直気が重い…。
診察を終えた私は、待合室で待っていてくれた裕ちゃんのところに駆け寄った。

「どうやった?」
「次、検査だって」
「そうか」
「うん…」
「こわいか?」
「うん」
「また付いてってほしいんか?」
「お願いできる?」
「ええよ。それよかよっさんには…」
「結果が出るまで言わない」
「ええのか?」
「余計な心配かけたくない」
「わかった…。ごっちんがそうまで言うなら秘密にしとくわ」

ごめんね? 裕ちゃん。
でも、よしこには絶対言えない。
結果が出るまで…心配はかけたくない。
だって容易に狼狽するよしこが目に浮かぶから。

 

つづく

[★高収入が可能!WEBデザインのプロになってみない?! Click Here! 自宅で仕事がしたい人必見! Click Here!]
[ CGIレンタルサービス | 100MBの無料HPスペース | 検索エンジン登録代行サービス ]
[ 初心者でも安心なレンタルサーバー。50MBで250円から。CGI・SSI・PHPが使えます。 ]


FC2 キャッシング 出会い 無料アクセス解析