日程:2003年10月12日(日)
場所:岐阜 長良川公園
とっても楽しかった「ぎふ信長まつり 勝手おどりパレード」から1週間。ついに恐れていたこの日がやって来ちゃいました。ウルトラスケート110。略してウルスケ。略さなくてもよろしい。

インラインスケートでは日本最長の110キロ。
110キロと聞いただけで、くらくら目眩がします。普段、自宅で仕事をしている僕は、1日に移動する距離なんてせいぜいが1キロ程度。ひどいときは、トイレと仕事部屋を数往復するだけなんてことも。インラインスケートを頑張り始めた今年は、さすがにそこまで運動不足にはなってないと思うんですけど、しかし110キロの距離をなんの動力も使わず、自分の力だけで移動するなんて、うーーん、これはまったくの未知の世界。「体重110キロになれ」といわれたほうが、まだ楽かもしれないよなあ……なんて思いながら、なんとなくエントリーしちゃったんでありました。
さて、エントリーしたからには頑張らねばと、9月中旬から準備を始めた私。まずはとにかく体力増強。それまで1日10キロほどだった練習量を、いきなり倍の20キロに増やしてみました。
健康管理にも気をつかいました。当日、風邪などひいたらなんにもならないので、外から帰ったら必ずうがい。

それまでは午前4時に寝て昼前に起きるという生活を続けていたんですか、ちゃんと夜に寝て朝起きるよう心がけました。食事も毎日三食とるし、酒も飲まないし……こんなにも健康的な生活をするのって一体何年ぶりだろう?
こんなにも気をつかっていたというのに、大会2日前になって、甥が風邪をひいちゃいました。おいおい(おやぢギャグ)。
高熱を出して苦しそうにうなる甥に、「頼むから伝染してくれるな(-_-)」と冷ややかな視線を送ったことは、ここだけの話にしておこう。
大会前日に用意したもの。
![]() | 靴擦れ・マメ防止用テープ
とにかく、途中で足が痛くなることが一番不安でしたから。 |
| ワセリン
これもマメ防止用。あと、ウェアの裾がすれて痛くならないよう、腕や太ももにも塗りまくったり。 |
| 冷却シート
風邪をひいた甥のために買ってきたものを、無理矢理奪ってきました。 |
| 栄養食品
朝の8時半から夕方まで、昼ご飯も食べずに走りっぱなしですから、手軽に栄養補給できるものを買い込みました。 |
これらのものを用意しているうちに、外では雨がざんざん降り始めて、「おいおい、明日は大丈夫かあ?」と心配に。
9月のプレ長良川カップも雨で中止になったのに、その上、明日も雨だったらシャレになりません。何度も何度も天気予報を確認しながら、不安な気持ちで布団にもぐり込んだ私でありました。
午前5時起床。う……さすがに眠い。
雨はやんでましたが、路面はぐしょ濡れ。空もどんより曇っていて、またいつ雨が降り出すかわからない状況。予定どおり開催されるかどうかは不明だけど、とにかく現地へ行ってみなければ。バナナとヨーグルトで軽めの朝食をとり、長良川公園へと向かう。
驚いたことに、岐阜へ近づくごとに路面が乾いていき、長良川公園は完全なドライ状態。空は相変わらずどんよりしていましたが、これならなんとかなりそう。自然と気合いが入ります。

午前7時半から受付開始。ゼッケンとプログラムを受け取る。

今回の大会のために、特別に作られたゼッケン。
ゼッケンの周りにくっついたタグを、1周するごとに1枚ずつちぎっていく。
今回走る高橋尚子ロードは1周が2.5キロ。110キロ走るには、44周回らなければならない。う……想像しただけで気が遠くなりそう。
いやいや、44周も走らなきゃいけないと思うから憂鬱になるわけで、考え方を変えれば、もっと楽になるはず。たとえば歩数に換算したら、ひと蹴りするたびに5メートル進むとして、1キロで200蹴り。110キロだと22000蹴り。なーんだ、たったの2万2000蹴りすればいいだけぢゃん。
なんだかんだと準備をしているうちに開会式も終わって、いよいよスタートのときがやって来ました。参加者は全部で28名。小学生から熟年の方まで様々な選手が勢ぞろい。熱気がむんむん伝わってきます。僕は控えめに、最後尾に並んで、スタートのときが来るのを待ちました。


午前8時半、ついにスタート。これから長い旅路の始まりです。
後半スタミナ切れを起こさぬよう、マイペースを守ろうと心がけるものの、やはり気が焦ってペースアップしてしまいます。でも緊張しているので、それほど疲れは感じない。順調に4周、5周と進んでいきました。
7周(17.5キロ)走ったところで、最初の水分補給。エイドステーションで、この日のために作った特製ドリンクを口にする。といっても、栄養補給剤の粉末を「六甲のおいしい水」に溶かしただけなんだけど。
ひと口飲んで、思わず叫ぶ。
12周(30キロ)を越えたあたりから、次第に右足の小指の付け根横が痛み始める。30キロ以上滑ったことがない僕にとって、ここから先は未知の世界。♪ぱらららぱらららぱららら〜(BGM「トワイライト・ゾーン」のテーマ曲。暴走族ではありません)
うーーん、大丈夫かなあ? と不安になりながらも、今はただひたすら滑るしかない。
17周(42.5キロ)走ったところで2度目の休憩。なんとか2時間を切って、フルマラソンの距離を走れたみたい。なるほど、これがフルマラソンの距離かと感動しながら、水を飲む。まずっ!
「人の後ろにぴたりとくっついて走ったほうが、風の抵抗を受けなくて楽だ」という話は以前から聞いていたけど、これまではいまひとつピンときませんでした。人の後ろにぴたりとくっつくということは、その人に合わせて、こちらもスピードを調整しなくてはいけないわけで、そんなことに神経を使うなら、一人きりで滑ったほうが楽ではないか? とずっと思っていたんです。
しかし今回、思いっきり実感しました。人のうしろを滑るのって、なんて楽なんだろう! ってゆーか、一度この快感を味わってしまったら、もう一人きりで滑ることなんてできません。どうして、こんなにも楽なんでしょう? 風の抵抗だけが理由だとは思えないんですけど。気分的なものなのかなあ。
そのことに気づいてからは、人の後ろにくっつきまくり。うっかり一人になってしまうと、たまった疲労感が一気に噴き出してきて、もうどうしようもない。周りの迷惑も顧みず、慌てて次のターゲットを捜す。中学3年生の女の子の後ろにくっついたときは、「うーん、このままいつまでもくっついていたら、スケベおやぢと思われるかなあ?」とさすがに不安に思いましたけど。
2度めの休憩の際、痛む場所にマメパッドを貼りつけたら、予想以上の効果を発揮して、すっと痛みが治まりました。「よーし、この調子だあ!」と気合いを入れたのですが、20周(50キロ)を越えたあたりから、足全体が痺れ始め、さすがにかなりつらくなってくる。29周(72.5キロ)走ったところで、3度目の休憩。
「座り込むと、次に走り出すときにつらいから、水分だけ補給してすぐにスタートしたほうがいいよ」と事前にアドバイスをもらっていましたが、エイドステーションへやって来ると、もう走り出す気にはなれません。椅子に座り込み、ドリンクをがぶ飲み。これだけ疲れてるんだから、もしかしたら味覚も変わっているかもしれないと期待したけど、やっぱりまずっ!。

休憩を終え、「さあ、走ろうか」と立ち上がるが……うわあ、膝が伸びない。足首が曲がらない。なんだかロボットになってしまったような気分。
まともに歩くこともできず、よたよたとウィールを転がしながら、誰かがやって来るのをひたすら待つ(一人きりじゃ滑れない身体になっていたので……)。

30周(75キロ)を越えて、ようやく終盤戦。でも、このあたりがいちばんきつかったかも。
34周(85キロ)走ったところで4度目の休憩。だんだん休憩の頻度が増えております。このときは「もうダメだ!」とマジでへたばり、かなり長時間休んじゃいました。
とにかくつらい。なにか楽しいことを考えようと、必死で記憶を探る。楽しいこと……楽しいこと……。そうだ、先週の「勝手おどりパレード」のことを思い出そう。あれは楽しかったなあ。とくにイメージキャラクターのかっちゃんが……

40周(100キロ)を越え、ついに残り4周。「このまま一気にラストスパートだっ!」と意気込みたいところだけど、100キロ走ったという思いで、一気に気が緩んだのか、どうしようもないくらい疲れが噴き出してきて、残りわずか3周となった41週目(102.5キロ)で5度目の休憩。
あとたったの3周なのに、再び走り出すのがつらくて仕方がない。早くブーツを脱いで、寝転がりたい。気持ち悪くなるくらい、おいしい水をがぶ飲みしたい。腹いっぱいフルーツを食べたい。そんなことを考えながら、重い足を引きずり、ラスト7.5キロを走り始める。

ラスト1周くらいは、全力で滑ってやろうと思いましたが、いざそのときになると、もうそんな力はどこにも残ってません。
ラスト半周になったところで、「男を見せろ!」とあいねぇさんから声援を受けたのですが、この頃にはもはやまともに思考する力も残っておらず、「え? 男を見せろ? こんなところで、そんなことやっちゃっていいのかなあ」と、思わずパンツをずり下ろしそうになったくらい(マジ)。本当に男を見せていたら、今頃は長良川の底に沈んでいたことでしょう。
ラスト1/4周。「うっしゃああああ!」と気持ちを奮い立たせるものの、身体はついていかず思いっきりへなへな状態。それでもなんとか皆さんの拍手を浴びながらゴールイン。


天候が心配された今回の110キロマラソン。終わってみれば、暑くもなく寒くもなく、最高のコンディションでしたね。
滑っている最中はホントつらくて、「なんでこんなこと、やってるんだろう?」と疑問に思ったりもしたんですが、振り返ってみるととても充実した1日でした。こんなにも身体を動かしたのって、もしかしたら生まれて初めてかも。心地よい疲労感がまたたまらなく快感だったり(翌日は激痛に変わってたけど)。なによりも、皆さんの滑りをじっくり観察することができたってことが一番の成果かな。
110キロを走り終えたたときは、正直いって「もう当分、スケートはやりたくない」という気持ちだったんですが、今はもっともっと練習して、もっともっと早く滑れるようになりたいと心の底から思っています。
朝早くから準備をしてくださったスタッフの皆さん、僕を引っ張ってくれた選手の皆さん、そして暖かい声援を贈ってくださった大勢の方々、本当にどうもありがとうございました。
ウルトラスケート110──略してウルスケ、これにて終了!


この大会のリザルトはこちら。
このページに掲載した写真の一部は、こちらのものを使わせていただきました(毎度毎度のことながら、がくちゃん感謝です)。
(文 くろけん)

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