初登板初完封の名誉


95年4月12日:広島ー阪神(広島)で背番号106の投手が登板した。

名前はロビンソン・チェコ。カープベースボールアカデミー出身のドミニカ人である。

彼はこの日が初登板だったが、見事に完封勝利を挙げる。

そして、前半戦だけで10勝を挙げ、オールスターにも選ばれる。

球団にとってアカデミー事業が成功である事を思わせるのに充分であった。

球団は、来日当初に契約していた通り、ボーナス1500万円をチェコに払った。



「ドミニカの両親に家族5人分の部屋がある家をプレゼントしたい。」とチェコ。

あるファンはこの話を聞き感動していた。

またあるファンは今後10年間はエースだと期待していた。


しかし、後半戦に入りファンの夢はたった1人の男によって打ち砕かれた。

チェコの代理人、ダン野村である。



「ミスターダン。私は来年どれくらい年俸をもらえるでしょうか。私は2億円ぐらいもらえると思うのですが。」


「おお、そうだな。君の成績なら球団も出すだろう。『出さない』、と言ったら
 大リーグに行くと言えば良いだろう。私に任せなさい。必ず勝ち取ってみせる。」



ダン野村はこの考えをマスコミに発表した。

「来季年俸は2億円を要求する。認めない場合、チェコを大リーグへ移籍させる。」


この発表にカープファンは度肝を抜かれた。

多くのファンが「いくらなんでも、それは無理だ。」と考えた。

しかし、誰よりも驚いたのは他ならぬ球団側だった。

それはそうだろう。95年当時、広島には年俸が2億円を超えている選手などいなかったのだから。

(参考:大野豊 1億1200万円、前田智徳 1億3500万円)



この件は、双方の話し合いにより

「来季年俸5000万円・97年にボストン・レッドソックスへ移籍させる」

この2点で合意に達した。


しかし、事態は更に悪化した。


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